歯周病/歯槽膿漏とは?

歯槽膿漏(歯周病)とは、歯垢(プラーク)の中の
歯槽膿漏(歯周病)菌の感染によって歯茎や顎の骨等の
歯周組織に引き起こされる炎症性疾患です。

歯槽膿漏(歯周病)は、自覚症状がほとんどなく
進行に気づきにくい特徴があり、
気付いた時にはすでに重症化しており、
サイレントディジーズと呼ばれています。

歯周病/歯槽膿漏とは?

日本人が歯を失う原因の第1位が歯槽膿漏(歯周病)で約42%、次に多いのが虫歯で32%となっており、歯槽膿漏(歯周病)は世界でもっとも患者数が多い疾患でギネスにも掲載されております。また日本人の30歳以上の約8割が歯槽膿漏(歯周病)の予備軍と言われています。

歯槽膿漏(歯周病)になると糖尿病になるリスクが3~4.2倍まで跳ね上がります。
また誤嚥性肺炎のリスクが約1.8~4.5倍、
ピロリ菌感染胃疾患になりやすくなったり、
妊婦に至っては早産のリスクが2.3倍、
低体重児出産が2.83倍に高まります。
また脳血管疾患が2.8倍、心疾患が約2倍、
骨粗鬆症や関節炎、腎炎等になりやくすなる
と言われており、歯槽膿漏(歯周病)は全身に様々な疾患を及ぼしてしまいます。

人体への影響

歯周病/歯槽膿漏の進行プロセスとその要因

歯槽膿漏(歯周病)は歯垢(プラーク)の中にある歯槽膿漏(歯周病)菌が原因と言われおり、歯槽膿漏(歯周病)は感染症疾患です。
治療によって歯槽膿漏(歯周病)菌を絶滅させる事が可能ですが、歯と歯肉の境目をブラッシングが行き届かないでいると再発してしまう疾患です。

昔は老化とともに発症する疾患だと考えられていましたが、近年では適切な処置により治療や予防が可能になりました。

歯槽膿漏(歯周病)になると歯肉の辺縁が炎症を帯びて赤くなったり腫れたり出血などが見られます。
悪化すると状態が歯周炎へと進行し、顎の骨に影響を与えます。
歯周炎は3段階あり、膿や歯のグラつきが見られた場合は早めに受診しましょう。

軽度
歯周ポケット/4~5mm

特徴

  • 歯肉の赤み
  • 歯茎の腫れ
  • 歯茎の出血

中等度
歯周ポケット/4~6mm

特徴

  • 歯茎がグラグラする
  • 歯茎が下がる、歯根が露出する
  • 口臭が発生する
  • かゆみが発生する
  • 唾液がねばつく

重度
歯周ポケット/6mm以上

特徴

  • 硬いものを噛む事が出来ない
  • 歯肉が退縮している
  • 膿がでる
  • 自然に出血する頻度が増える

歯を抜かずに治療可能

抜歯後、インプラント義歯が
必要になる場合がある

歯周病/歯槽膿漏の治療法

歯周病にはスケーリング、デブライドメント/ルートプレーニング、レーザー治療、フラップ手術(歯周外科治療)、歯茎の再生治療(結合組織移植術)、エムドゲインエムドゲイン(歯周組織再生療法)やGTR(歯周組織誘導法)という治療法があります。
それぞれの治療法をご説明いたします。

1.スケーリング

スケーリング

スケーリングとは歯科医師もしくは歯科衛生士がハンドスケーラーや超音波スケーラーと呼ばれる専用機器を用いて歯根面から歯石を除去する治療法です。
歯垢(プラーク)はご自身で除去出来ますが、歯石になってしまうと歯科医院でなければ除去できません。
歯周病専用の超音波スケーラーは微弱な振動で、知覚過敏や歯茎の退縮の原因となる歯のセメント質の損傷を最小限に抑える事が可能となり、安全に歯石と歯垢を除去する事ができます。
また、先端部分が狭い歯周ポケットに入りやすい形状になっており、歯周ポケットの奥にある歯石までしっかり除去できます。

2.デブライドメント/ルートプレーニング

デブライドメント/ルートプレーニング

デブライドメント・ルートプレーニングは歯周病の原因となる歯垢(プラーク)をセメント質を傷付つけずに除去する治療法です。
手動の器具や超音波等を使用し、歯周ポケットの奥にある溜まった歯垢(プラーク)を除去していきます。
治療は汚染された壊死セメント質を除去し歯根面をなめらかにします。

3.レーザー治療

レーザー治療

レーザー治療とは、レーザーの光や熱を照射する事によって歯周ポケットの中にある歯石を除去する治療法です。
レーザーを使用することで、より歯周ポケット内部の原因菌を死滅させる事が可能です。

4.フラップ手術(歯周外科治療)

フラップ手術(歯周外科治療)

フラップ手術とは重度の歯周病に対して行う手術で、歯肉を切開し歯根部に付着している歯石や歯垢を取り除く手術です。
歯肉を切開しプラークや歯石を目視で確認しつつ確実に除去できるという点と、歯周病が重症化した際に発生する骨吸収が起こっている場合は非外科処置(切らない治療)より確実にデブライドメントやスケーリングが行えるというメリットがあります。

5.歯茎の再生治療(総合組織移植術)

歯茎の再生治療(総合組織移植術)

歯周病の治療後、歯肉退縮(歯茎が痩せている状態)を起こしてしまい歯が長く見える場合があります。その際に歯茎を再生し見た目の回復を行います。
歯肉退縮は根尖病巣や歯の破折や位置異常、などにも発生する場合があり、現在の症状と原因の点に基づいて再生治療を行う事が可能です。

6.エムドゲイン(歯周組織再生療法)

エムドゲイン(歯周組織再生療法)

エムドゲイン(歯周組織再生療法)は、歯周組織を再生させる方法で、歯周病が進行し顎の骨や歯根膜等が溶けてしまった状態の方に行う治療法です。
タンパク質の一種であるエムドゲイン・ゲルを歯根表面に塗布し、歯が生えてくる時と同じ環境をつくり歯周組織の再生を促します。

7.GTR(歯周組織誘導法)

GTR(歯周組織誘導法)

GTR(歯周組織誘導法)とは、歯周病により溶けて無くなってしまった顎の骨や歯根膜等の歯周組織の再生を促す治療法の一つです。
歯周ポケットのプラーク・歯石を取り除いた後に骨が無くなってしまった箇所にメンブレンという人工膜を挿入し、歯根膜や歯周組織等の歯周組織の再生を促します。

根管治療とは

根管治療とは、神経が死んだ歯の根の中を消毒し細菌感染防止の薬を流し込む治療です。
精密に根管治療を行う事でその後の歯の寿命が変わります。

何度も虫歯に感染し治療を繰り返す事で歯が割れやすくなったり抜歯が必要になります。
根管治療は虫歯や歯槽膿漏の進行で抜歯をすすめらているが可能なだけ歯を抜かずに治療したい方や歯の根の治療を行なっているがなかなか良くならない方などにおすすめの治療です。
また治療が終わったが再度痛みが発生した場合や痛みの原因が解らない場合等のケースにも最適な治療です。

抜かずに残せる歯があります

虫歯や歯槽膿漏が進行している場合、抜歯という方法で治療を行わなければならないケースがあります。
しかしマイクロスコープ(手術用顕微鏡)を使用し高度な精密根管治療を行う事で、抜歯を回避できる場合があります
抜歯を決断される前に精密根管治療で歯が残せるか診療を受けてみてはいかがでしょうか。

セカンドオピニオンを受け付けている歯科医院もあり、最新の歯科用機器を使用し納得の上で治療をうける事ができるように説明をしてもらえる事ができます。
可能なかぎり抜歯をせず本来の歯を出来るだけ残したい場合、根管治療について相談してみましょう。

マイクロスコープを利用することで、肉眼では見ることのできない歯の細かく深い部分まで見ることができ、より精密な治療を行う事が出来ます。

歯科用マイクロスコープ

根管治療を行う事で抜歯の回避ができ、痛みからも解放されます。
複数回通院していただく必要がありますが、歯を失ってしまうと入れ歯やブリッジ、もしくはインプラント等の治療を行う必要があります。

自分の歯のように使用できるインプラントとはいえ、自分の歯にはかないません。
ひよどり台歯科クリニックでは可能な限り自分の歯でいられるよう、歯周病治療や根管治療に力を入れています。
自分の歯で食事を楽しめる事が大切です。
しかし日本人の8割が歯周病と言われており、虫歯によって神経を抜く方も多いです。
可能な限り抜かないように力を入れますが、どうしても歯を抜かなければならない場合もあります。
その際は第二の永久歯と呼ばれるインプラント治療をオススメします。欠損治療の中でも自分の歯のように噛める治療だからです。

しかし最初からインプラントと決めつけるのではなく、抜かないで済むよう定期的にご来院いただき、歯の予防をして頂きたいと考えます。